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なぜ透析が必要な人は、リソソーム機能が低下するのか?

  • 執筆者の写真: Tetsu Shiratori
    Tetsu Shiratori
  • 4月11日
  • 読了時間: 3分

更新日:4月23日



なぜ透析が必要な人は、リソソーム機能が低下するのか?

はじめに

透析というと「腎臓の代わりに血液をきれいにする治療」

というイメージがあるかと思います。


実際その通りなのですが、実はこの透析が必要な状態になると

私たちの体内で密かに、細胞レベルの変化が起きていることを

ご存知でしょうか?


そのカギを握るのが、「リソソーム」という小さな器官です。

今回は、透析とリソソームの関係について、やさしく解説していきます。


リソソームとは?細胞内での重要な役割

リソソームは、細胞の中にある「分解装置」です。

古くなった細胞の部品、侵入してきた異物、余分なタンパク質などを

酵素で分解して再利用したり、無害化する働きをしています。


言ってみれば、細胞のお掃除係のような存在です。

このリソソームがしっかり働いていることで、細胞は清潔に保たれ

健康な働きができるのです。


透析が必要になると、なぜ細胞環境が変わるのか

透析が必要な人は、すでに慢性腎臓病(CKD)や末期腎不全の状態です。

これにより体内では次のような変化が起こりやすくなります:

・毒素や老廃物の蓄積

・慢性炎症の持続

・酸化ストレスの上昇

・栄養バランスの乱れ


これらの要因が、細胞内の環境にもダメージを与え

リソソームの働きにも影響してくるのです。


リソソーム機能が低下する3つの理由

① 慢性炎症

腎機能が低下すると、炎症性物質(サイトカインなど)が

慢性的に分泌され、体が常に軽い炎症状態になります。

リソソームはこの炎症環境にさらされると、膜が傷ついたり

内部の酵素が漏れ出したりするリスクが高まります。


② 酸化ストレス

腎不全では、体内に活性酸素が多く発生します。

これがリソソーム膜を酸化させて損傷させることで、

機能が低下してしまうこともあります。


③ オートファジー機能の低下

リソソームは、細胞の自己浄化プロセスである

オートファジーと連携しています。


腎不全の進行や栄養状態の悪化によって

オートファジーがうまく働かなくなると

リソソームの活動も停滞してしまいます。


それにより、どんな影響があるのか?

リソソームの機能が低下すると、以下のようなことが起こる可能性があります。

・老廃物が細胞内にたまる

・炎症が長引く

・細胞が老化しやすくなる

・免疫の働きが鈍る

・疲れやすくなる、回復力が落ちる


つまり、透析をしていても

「なんとなく体調がすっきりしない…」というのは

細胞レベルの問題が関係しているかもしれないのです。


リソソームを守るための生活習慣と栄養対策

では、リソソームの健康を守るにはどうすればいいのでしょうか?


以下のようなポイントが役立ちます。


✅ 抗酸化物質を意識する

 ・ビタミンC・E

 ・クルクミン(ウコン成分)

 ・緑茶ポリフェノール(カテキン)

✅ 炎症を抑える食生活

 ・加工食品・砂糖・トランス脂肪酸を控える

 ・オメガ3脂肪酸(青魚・えごま油など)を取り入れる

✅ 腸内環境の改善

 ・発酵食品(納豆・味噌・ヨーグルト)

 ・食物繊維のある野菜や海藻類

✅ 睡眠とストレスケア

 ・質のよい睡眠

 ・ゆったりとした呼吸や瞑想もおすすめです


まとめ:リソソームをいたわることは、細胞をいたわること

透析というと「血液をきれいにする」ことに意識が向きがちですが

実はその先の「細胞レベルの健康」も、とても大切な視点です。


リソソームは小さな器官ですが

生命活動に欠かせない大事な影の立役者。


透析を受ける方こそ、細胞をケアする視点を持つことで

より元気な毎日につながっていきます。

小さなひと工夫で、人生に大きな変化が生まれる可能性もあるのです。

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